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芯のある声にしたい人のためのガイド
「芯のある声」に定まった定義はありません。このサイトでは、声の高い方の成分に、周りより突き出た部分がある声を指します。
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「声が薄い」と言われたことがある人もいれば、好きな歌手の声を聞いて「もっと芯のある声を出したい」と思うようになった人もいるでしょう。一方で、「芯のある声」という言葉自体が何を指しているのか気になっている人もいると思います。
「芯のある声」は何を指しているか
「芯のある声」は、ボイストレーニングの現場で使われる呼び名であり、単一の定義があるわけではありません。
「芯」という言葉は、声がしっかりしている・安定しているという印象を表すために使われる比喩的な表現です。指導者や記事によって、この言葉が指している声の質感には幅があります。
オペラ指導の専門家9名が、歌を評価する道具を作った研究があります(Oates ほか, 2006)。そこで選び抜かれた5つの項目に、「芯」に当たるものはありませんでした。
このように定義が定まっていないため、このサイトでは声の高い方の成分に鋭い山がある声を「芯のある声」と独自に定義します。これはこのサイトの取り決めであり、研究がそう定めているわけではありません。その成分と、山の鋭さが何を指すのかは、このあとの節で説明します。
声の高い方の成分に山がある声は、伴奏に埋もれにくいと研究は説明している
西洋のオペラやコンサートで歌う男性歌手の母音を調べた研究は、声の高い方の成分に山(周りより音が強く出ている部分)があると、伴奏の中でも声が埋もれにくいと説明しています(Sundberg, 1974)。この山が現れるのは2.8kHz付近だと報告されています。呼び名はシンギング・フォルマントです。
人の声は、耳には一つの音として聞こえますが、実際には複数の高さの音(倍音)が重なってできています。山があるというのは、その中の特定の高さの成分だけが強く出ているということです。
この山は、男性のオペラ歌手の声に特徴的なものとして報告されました。ソプラノの高い音域では見られないことが多いと、Sundberg(1974)は書いています。
出典が示しているのはここまでで、山の鋭さを数字にする考え方は、このサイトとHASSEI METERの取り決めです。
HASSEI METER は、声の高い方の成分の中に決まった範囲を設けて「ターゲット帯」と呼び、その両隣の範囲を「両肩」と呼んでいます。「芯」として見ているのは、ターゲット帯のいちばん強いところが、両肩からどれだけ突き出ているかという高さの差です。
HASSEI METER の設計では、声を大きくしただけのときは、ターゲット帯も両肩も広くのっぺりと持ち上がるため、差はかえって小さくなると考えます。声道(のどから口までの空間)には、その形によって特定の高さの音だけを強める性質があります。この性質によってターゲット帯だけが持ち上がるときは、差が広がる、という扱いです。芯は、声が大きいだけなのか、声道が山の帯域を強めているのかを見分けるための数字です。
芯のある声は、山の鋭さを数字にして測れる
声の高い方の成分のうち HASSEI METER が決めた範囲に現れる山の鋭さを、いちばん強いところと、範囲の両隣との差で数字にしたものが、芯(PEAK)です。
抜け(SPR)が既存の研究に基づく指標であるのに対し、芯(PEAK)はHASSEI METERが独自に定めた計算で、文献で提案されている指標ではありません。どちらも声の高い方の成分を見ていますが、抜け(SPR)は「高い方の成分がどれだけ残っているか」、芯(PEAK)は「そこにできる山がどれだけ鋭いか」と、見ている角度が違います。
次に読むもの
- シンギング・フォルマント — 山ができる仕組みを詳しく知る
- エッジボイス — 無理のない範囲で、声帯を閉じる感覚をつかむ練習をする
- 芯(PEAK) — なぜ「山の鋭さ」を測るのかを知る
references / 出典
- Sundberg, J. (1974). Articulatory interpretation of the "singing formant". Journal of the Acoustical Society of America, 55(4), 838-844.
- Oates, J. M., Bain, B., Davis, P., Chapman, J., & Kenny, D. (2006). Development of an auditory-perceptual rating instrument for the operatic singing voice. Journal of Voice, 20(1), 71-81.